[FW6.61/6.60対応] Infinity 2.0 ― PSPハックの暫定最終形でCFWを導入しよう
FW6.61/6.60に対応したPSPにCFW環境を導入するユーティリティである「Infinity 2.0」の解説です。
遅ればせながら当ブログでもPSPハックシーンの略史を交えつつ紹介しておきます。早く導入方法を確認したい場合は下の方に飛んでください。
PS VitaにPSP+CFW環境を作りたい方はこちらです。
Infinityの概要
Infinity自体は正確にはCFWではなく、LCFW恒久化(≒CFW化)を提供するユーティリティです。本来再起動によって無効化されてしまうLCFWの機能を再起動後も維持することができます。FW6.60/6.61で利用可能です。
LCFWが未導入の場合は先にLCFWを導入する必要があり、その後Infinityで恒久化を行う流れになります。本記事ではLCFWの導入からカバーしています。
PSPハックシーン略史
せっかくの機会なので、PSPハックシーンを自分の印象とともに雑に振り返っておきます。もし勘違いがあれば教えてください。Infinityの導入方法が早く知りたい人は飛ばしてください。
- 1.00/1.05・・・PSP発売当時は未署名ソフトやバックアップファイルが最初から起動できるという波乱の幕開けだったそうです。Dark_Alex氏はこの当時からM33系CFWに至るまでシーンに貢献し続け伝説になりました。
- 1.50・・・このころ何故かゲーム屋さんからルミネスというゲームが消えたそうですが詳しくは知りません。歴史の世界です。
- 3.71 M33・・・本体情報が3月33日(4月2日)にだけ3.33 M33-3に書き換わる面白いCFWです。自分がパンドラバッテリーを使って導入した初めてのCFWが確かこれでした。
- 5.00 M33・・・パンドラバッテリーを使って未対策基盤に導入できる圧倒的主流のCFWでした。当ブログはこの辺からカバーしています。
- 5.50 GEN・・・M33の後継で、改造済みの未対策基盤からアップデートできる長らく最新にして主流のCFWでした。
- 対策基盤・・・PSP-2000の後期に生産されたものから、当時絶対的な手法だったパンドラバッテリーが対策され使えなくなった本体が流通しました。ここからハックシーンは新たな改造手法待ちの難民を抱え続けることになり、パンドラバッテリーを使わない手法を開発し多くの人へ届けることがシーンのメインテーマとなりました。
- 5.03 ChickHEN・・・対策基盤に対応した最初のHEN。XMBの「フォト」でexploit入りのtiff画像のリストをグリグリして起動する変なHENです。失敗してフリーズを繰り返すうちに、だんだん上手にグリグリできるようになります。対策基盤にとって念願のカーネルモードへのアクセスを切り開きました。これ以降、HBLやHENは次のFWアップデートで対策されるのが普通になり、当時手持ちのPSPが対策基盤でFWが5.03より新しいことは絶望と同じことでした。
- 5.03 GEN/Prometheus・・・最初のLCFW。ChickHENを実行して続けざまにこれを起動しない流れがあったでしょうか。一時的とはいえCFWと同等の機能を提供し、対策基盤で初めてバックアップファイルが起動できるようになりました。
- HBL・・・HEN/LCFWと違い未署名のユーザーアプリしか起動できませんが、他に選択肢のなかった対策基盤ユーザーに重宝され、多くのFWに提供されました。また6.20 TNも署名されるまではHBLを経由していました。セーブデータのユーザーモードexploitを突く手法はPS Vitaの早期のハックであるVHBLに引き継がれました。exploit持ちのゲームは金曜の深夜に公表され、月曜の朝にPSストアから姿を消すのが慣例になりました。
- 5.70・・・なぜか印象に残っている、PSP goに初期インストールされたFWです。というよりPSP goが衝撃的でした。
- 6.20 TN・・・PSP-3000にとっては5.03以来、PSP goにとっては初めてのLCFWです。開発者であるTotal_Noob氏の名が轟きました。改造できるバージョンが跳ね上がったことで多くの待機組が救われました。恒久化パッチも公開されました。LCFWへの門戸が大きく開かれたことによりCFWおよび未対策基盤の優位性が崩れていきます。
- 署名・・・非公式ソフトに公式ソフトと同等の署名を行って偽装し、あの忌々しい「起動できません。データが壊れています。」のメッセージを最初から回避できるという最大のブレイクスルーが起こりました。これ以降LCFWはゲームアイコンから直接起動するのが普通になりました。
- 6.XX LME/PRO・・・6.3X世代以降は、アップデートを繰り返す公式サイドとカーネルexploitを大量放出するハッカーサイドのいたちごっこが繰り広げられました。このころになると最新FWが公開されるとLCFW(LME系とPRO系)が提供されるのに時間がかからなくなりました。CFWの流れもneur0n氏のME系によって維持されました。待機難民はもはやいなくなり、導入方法の簡易化とともにPSPハックの手軽さは過去最高になりました。かくしてハッカーサイドは勝利を強く確信しました。
これが2012年あたりまでの流れです。この頃から発売されたPS Vitaへと、PSPエミュレータを内蔵していたこともあり話題が移っていきます。その後PSPに約3年ぶりのアップデートとなるFW6.61がリリースされ、それにLME/PROが対応し、Infinityで恒久化が可能になる、という流れで現在に至ります。
Infinityの導入方法
事前にPSPをFW6.61または6.60にアップデートしておいてください。アップデートファイルはFW6.60(go)またはFW6.61(go)です。
0. は該当する方のみ対象です。対象でない場合は1. に進んでください。
0. 旧バージョンのInfinityのアンインストール
バージョン1.X.XのInfinityを既に使用していて、最新バージョンのもの(現行は2.0.3)に更新したい場合は少し手間ですが、Chronoswitch Downgraderというダウングレーダを使って同じバージョンのFWを再インストールしてPSPを純正の状態に戻します。以下の手順に従ってください。
- Chronoswitch Downgraderはバージョンチェック(現在のFW以下のバージョンのアップデータは実行できない)を回避してアップデータを起動するソフトです。
- Chronoswitch Downgraderは署名されているのでLCFWが導入されていないPSPでも実行できます。
バージョン2.0.XからのアップデートはInfinityの実行ソフトを実行するだけでOKです。3.を確認してください。
- Chronoswitch Downgraderをダウンロードし、内容物のchronoswitch_7_0フォルダをms0:(ef0:)/PSP/GAME/にコピーします。ただしms0はメモリースティック、ef0はPSP goの本体メモリーを指します。
- ご自分のPSPのFWバージョンにあわせて、FW6.60(go)またはFW6.61(go)のアップデートファイル(EBOOT.PBP)をダウンロードします。
- ダウンロードしたアップデータのEBOOT.PBPをms0:(ef0:)/PSP/GAME/UPDATE/にコピーします。UPDATEフォルダは作成してください。
- XMBより「Chronoswitch Downgrader」を起動し、画面の指示に従って×ボタンで公式アップデータの実行に進みます。
- 公式アップデータが起動されます。指示に従って純正ファームウェアのインストールを行ってください。
- インストールが終わるとPSPが純正の状態に戻って再起動されます。
純正FWの状態に戻ったら適宜以下の手順に従ってInfinityの再インストールを行ってください。
1. LCFWの導入
前述のとおりInfinityはLCFWを恒久化するツールであり、LCFWを別途用意して導入してある必要があります。まずは1.Aまたは1.Bのどちらかの手順を実行して好きなLCFWを導入します。
通常の使用目的においては両者とも大差ありません。また両方インストールしておいて後で使い分けることもできます。
1.A LCFW LMEの導入
- ご自分のPSPのFWバージョンにあわせて、6.60 LME-2.3または6.61 LME-2.3をダウンロードします。
- 内容物のinstallerフォルダとlauncherフォルダをms0:(ef0:)/PSP/GAME/にコピーします。ただしms0はメモリースティック、ef0はPSP goの本体メモリーを指します。
- LMEのモジュールをフラッシュに書き込むため、XMBより「LME Installer for 66X」(XはFWバージョンで決まる)を起動します。
- 表示された指示に従ってLMEのインストールを行います。完了するとPSPが再起動します。
この後、Infinityを導入するために手順2.へ進んでください。
- XMBに表示されているもう一方の「LME Launcher for 66X」はLMEのモジュールをロードして有効化するソフトです。Infinityはこのソフトを実行する手間を省きます。
1.B LCFW PROの導入
- ご自分のPSPのFWバージョンにあわせて、6.60 PRO-C2または6.61 PRO-C2をダウンロードします。
- 内容物のFastRecoveryフォルダとPROUPDATEフォルダをms0:(ef0:)/PSP/GAME/にコピーします。ただしms0はメモリースティック、ef0はPSP goの本体メモリーを指します。
- まずLCFWのモジュールをフラッシュに書き込むため、「66X PRO-C Updater」(XはFWバージョンで決まる)を起動します。
- 表示された指示に従ってPROのインストールを行います。完了するとPSPが再起動します。PROが有効化された状態でXMBに戻ってきます。
この後、Infinityを導入するために手順2.へ進んでください。
- XMBに表示されているもう一方の「66X PRO-C Fast Recovery」はPROのモジュールをロードして有効化するソフトです。Infinityはこのソフトを実行する手間を省きます。
2. Infinityの導入
ここからはLCFW恒久化パッチであるInfinityを実行していきます。
- Infinityをダウンロードし、内容物からPSP goの場合はpspgoフォルダ、それ以外のPSPの場合はstandardフォルダの中のEBOOT.PBPをms0:(ef0:)/PSP/GAME/UPDATE/にコピーします(公式アップデータと同じファイル配置)。
- XMBより「Infinity 2」を起動します(署名済みのためLCFWを有効化しておく必要はありません)。
- Infinityが起動して「Press X to install infinity」と表示されたら×ボタンを押します。Infinityがインストールされて「Press X to reboot.」と表示されたら×ボタンを押してPSPを再起動します。
- 再度「Infinity 2」を起動し、「Welcome to Infinity.」と表示されたら十字キー←で左の項目に移動し、「LME CFW by neur0n」と「PRO CFW by Coldbird」のうちインストールしてある方を×ボタンで選択して「*」がついた方が設定されています。
- InfinityアプリをPS(HOME)ボタン→×ボタンで終了します。設定を反映するためにPSPを再起動します。
XMB→「設定」→「本体情報」の「システムソフトウェア」が「6.60 LME-2.3∞」または「6.60 PRO-C∞」になっていればInfinityの導入は完了です。以後、PSPを再起動してもLCFWが有効化された状態が維持されます。
3. セットアップ・アンインストール関係
LCFWの切り替え
LMEとPROのモジュールは両方をインストールして使い分けることもできます。Infinityアプリからどちらをロードして使用するか設定できます。
アンインストール
Infinityの実行ソフト自体にアンインストールの手段は提供されていませんが、Chronoswitch Downgraderを用いたダウングレードによってInfinityやLCFWがアンインストールされてフレッシュな純正FWの状態に戻ります。やり方は0. を参照してください。
「LME Installer for 66X」や「66X PRO-C Updater」ではLCFWをアンインストールできますがInfinityがアンインストールされません。InfinityがインストールされているのにロードできるLCFWモジュールが無い場合はPSPは「バージョン 6.60∞」として起動され、機能は純正FWと同等になります。
純正FWとして起動
PS(HOME)ボタンを押しながらPSPを起動するとInfinity(よってLCFW)が無効化された状態で起動します。本体の起動に問題が発生した場合は使ってみてください。メモリースティックを直接書き換えられない(特にPSP goの本体メモリーを使っている)ような環境ではこの機能が割と生死を分けたりします。
InfinityをインストールしたPSPが起動しない原因は次のようなものがあります。
- PROモジュールをインストールしていないのにInfinityアプリで「PRO CFW by Coldbird」を選択している
- 対応していないあるいは複数の相性の悪いプラグインを有効にしている